12月6日、この日も朝から仕事に行くが、父親と面会の為に半日で早退させてもらう事にした
前日の面会時、父親を個室に移すという話になったが、病院から母親に2回電話があったようだ
個室の金額の確認と、東館から南館に移るという
そして15時に2人で面会に行く
東館に寄り個室に移る為の書類を記入する
主治医からの説明があり、父親は朝から痛がってもがいていたという…
身の置きどころがなく、痛い痛いと苦しんでいたようで、医療用の麻薬、モルヒネを使用し痛みで苦しまないようにしたとの事だ…
前日に面会した時はそんな素振りは見せていなかったのに…いや、心配かけないように我慢していたのかもしれないが…
母親と相談し延命措置はしない事にした
看護師に案内され、朝痛がっていてモルヒネを使用した事を説明されながら南館に行き病室に入る
前日までとは違う父親の姿にショックを受けた…
目は開いたままずっと天井をボンヤリと見ている
起きているのか寝ているのか…モルヒネの影響か動かない
瞬き1つしないのだ…
前日には気付かなかったが、目が黄色い…
肝不全にもなっていて黄疸か…
呼吸も回数が少ない
母親が、10秒に1回くらいのペースと言う
血圧は上が90くらいで安定しているとの事
ベッドの横にはモルヒネの管がついた装置がある…
父親に話しかけても、手を握ってやっても、顔や身体に触れてやっても、開いたままの目を手で遮ってもなんの反応もない…
呼吸をしているだけだ…
あまりの進行の早さにショックを受けた
主治医や看護師から、こういう症状が出たらこうしますと説明を受けてはいたが…
それが次の日にはそうなっているのだから…
父親に今日はこうしてあげよう、明日はこうしてあげよう
そう考えて面会に来たのに、父親は一歩先を行ってしまって何もしてあげられない
母親が
お父さん、何をそんなに急いで逝こうとしているの?まだやる事いっぱいあるでしょ?もっとゆっくりしなさいよ
と言う
母親が父親の身体に触れ祈っている
母親に父親の手を握る様に言い、自分も父親の手を握る
3人で手を握った写真を撮る
なんの反応もしない父親の姿はさすがに見ているのが辛かった
でも父親は今、病と戦っているんだ
現実から目を逸らす事は出来ない
これが今の父親の姿なんだ
この姿も目に焼き付けておかなければならないし、忘れない様に写真を撮った
手を見て思い出したが、癌封じの御守りがない
前日までは御守りが左手首に結ばれていた
信じて御守りをつけていてくれたが、手袋をつける事になり外されてしまったか
これは仕方がないが探しても見付からなかった…
30分くらいいただろうか
なにも反応しない父親を見て寂しかったし悲しかった
何もしてやれない現実が虚しかった
看護師にまた明日15時に来ますと話し帰る事にした
お父さん、また明日会いに来るから待っててね
と自分が言うと
僅かに頷いた!
母親に、今頷いたよね?と聞くと
うん、頷いたよ!
母親もしっかりと見ていた
自分の声が父親に聞こえていたのかわからないが確かに頷いた
でも頷いたのはその1回だけだった
泣きそうになったが父親の前では泣かないと決めていたので我慢した
父親とはもう意思疎通が出来なくなってしまった…
家に帰ってから泣いた