nonamenonanashi’s blog

父親の最後を忘れない為の日記

父親の死⑭

父親の面会の為に母親と病院に向かう途中、スマホが鳴った

病院から電話だ

もう血圧が計れない状態で、もうすぐ脈が止まってしまいそうです!

今、病院に向かっているのでもうすぐ着きます、と伝え電話を切り急いで行く

面会受付けを済ませナースステーションの近くまで行くと

あ!間に合って良かったです!もうすぐ脈が止まってしまいそうなんです!

と看護師に言われ急いで病室に向かう

病室に入ると父親は朝とは違う姿だった…

朝はボンヤリと天井を見つめていて呼吸が荒かったが、今は顔が横を向いていて酸素マスクが着けられていた

目も口も開いているが呼吸している様には見えない…

看護師から、血圧が計れない状態で脈が30くらいしかないと言われる

お父さん!お母さんと会いに来たよ!わかる!?

手を握って身体に触れるが反応がない

母親も手を握りながら声をかける

お父さん、そんなに早く逝かないでよ

しかし反応はない

心電図モニターを見ると脈が30前後で波形が波打っている

父親の手を握りながら

なんとか生きていてくれ!頑張ってくれ!と祈りながら心電図モニターを見ると…

0になり波形が横線になった…

あ!0になっちゃった…

自分がそう言ったのを覚えている

あぁ、ドラマとかで見るやつだ…

母親がそう言ったのを覚えている

自分の腕時計で15時2分

父親は亡くなってしまった

病室に入ってからほんの2、3分くらいだった…

母親と自分が会いに来るまで、父親は最後の力をふりしぼって待っていてくれたんだ

母親と自分が会いに来たから、父親は安心して旅立ったんだ

そう思った

そう思わずにはいられなかった

看護師が、先生を呼んで来ますね…

と静かに病室を出ていった

母親も、お父さん待っててくれたんだね

会えたから良かったよね、と言った

もう動かない父親をボンヤリと見つめながら

もう苦しい思いも、痛い思いも、ツラい思いもしなくて済むんだよね

お父さんはやっと解放されたんだよね…

母親も、お父さんやっと楽になれたんだよ…お疲れ様

そう言って手や身体に触れてやる

まだあたたかい

父親の前では泣かないと決めていたからか、不思議と涙は出なかった

もちろん、家に帰ってからは泣いたが

しばらくすると主治医と看護師が病室に入ってきた

確認させていただきます…

脈、心音、対光反射確認をして

15時16分、ご愁傷様です…

父親の死亡が確認された

お世話になりました、ありがとうございました

とお礼を言った

本当に父親が亡くなってしまった